【其の十六】血肉湧く
現在一人暮らしをする私にとって最大の問題点がフライパンの使い方がわからないということだ。
調べればわかるのだろうが、わかったところでよし調理しようとはならないと思う。
そもそも包丁で何かを捌いたこともまだない。
そう、自炊によるサラダや肉を私は食べられないのだ。
サラダはまだスーパーで購入したもやしで代用できるが、調理済みの肉はスーパーで買うとお高くつく。
なので、肉が食えない。
我慢できないときは駅前の牛丼屋に駆け込むが痛い出費であり、避けたい。
そんなとき、国の御母さんから吉野家のレンジでチンできる牛丼の具を貰った。
肉に飢えた私はそれをレンジで解凍する。
ほかほかのご飯に降り注がれた豚肉は私に生の喜びを教えてくれる。
うめええええええええええええええ。
私はソファの上で狂乱する。
米の上に光り輝く豚肉のように。