【其の五十一】ゼロ
最近は一人暮らしにまあまあ慣れ、生活リズムが軌道に乗ってきたのだが、それにより、余計に人間としての感情を失ったような気がする。
風呂を抜いたりしていた頃は、風呂に入らないことで身体を鳥肌が駆け巡るというとても味わい深い経験ができ、新鮮さを感じていたのだが、普通に風呂に入れるようになってしまった今の私はマイナスにもなりきれないゼロ野郎だ。
マイナスは苦痛であったが、新鮮であり、飽きることはなかった。ゼロはつまらない。
かといって、意識的にマイナスを狙うというのは気持ち悪いものがある。
昔のように、無意識にマイナスな生活を送ることはもう無理なのかも知れない。
慣れというのは死だね。