【其の五十】感性と理性
夜は窓を開けて、網戸一枚にしている。
すると、虫が飛来してきて網戸に張りつく。
ただ、張りつくだけ。
何もしない。意図がよくわからない。
今日はてんとう虫が張りついている。
張りつくこと自体が目的なのかもしれない。
少し羨ましく思う。
私は行為そのものを楽しむというよりも、それに対する見返り目当てになることが多いからだ。
寝転んでいても就活のことが頭をよぎり、このまま寝転んでいてよいのか。
見返りがない行為をしていてよいのかとなる。
てんとう虫、おまえ将来の夢は?
ブゥゥン(私は就職しなくても生きていけるから。)
そっかあ。いいなぁ。
でも苦難を超えた先に、快楽が隠れていることだってあるんだぞ。
理性はそれを知っている。