【其の六十】求めてたもの

一人暮らしを始めてから、精神状態は下降線を辿る一方である。

 

バイト先では馴染めないまま辞めることになったし、凡庸な食事には不快感を覚えるし、洗面台は公衆トイレ並み、部屋は狭くて汚い。

 

でも、これが私の求めていたものであるのかもしれない。自分が恵まれた環境に置かれていたことを生肌で確認できたのはとてもよいことだ。

 

思いやりとは想像力だ。

だから苦しみを知る必要がある。